病は気から恋は過ちから?
R-18描写があります。苦手な方はそっとブラウザを閉じてね。
構わぬ!という心臓が強いだけどうぞ。
触れるようなキスだけでは物足りなく、呼吸の為か薄く開いた唇に舌を差しいれた。驚いたように食満の手が竹谷の服を掴み、それに気付かない振りして竹谷はそのまま食満をベッドの上へと押さえこんだ。
「…っふ…んっ…」
唇から洩れるのは鼻にかかったような甘い声と水音で、食満の手は微かに震えながらも竹谷の肩をしっかりと掴んでいる。唇を離すとどうやらもう限界だったのか顔を真っ赤にして涙を目に浮かべた食満が必死に呼吸をしている。その唇からは飲み込み切れなかった唾液が溢れ、朱を帯びた頬や目元は扇情的に竹谷の目に映る。
そのまま首筋へと舌を這わせると食満の身体がぴくりと動き、竹谷はもう一度食満へと口付けながらシャツの中へと手を入れた。指先で肌をなぞり、指が胸の突起へと辿りつくと竹谷はそこを指先で弄った。軽く指の腹で押しつぶし、そして指先で引っ張ってみる。その度に食満の身体が小さく跳ねるのがとても楽しかった。二度目の口付けを終えて顔を離すと胸の刺激に耐えられなかったのか甘い声が食満の口から漏れる。
「あっ…んっ」
腕で顔を隠し、声を漏らさないようにと必死になっている食満のシャツを胸元まで捲り上げ、今度は指ではなく舌先で触れる。吸い上げると背を反らし、唇を噛みしめたような声が聞えた。
ふと約束のキス以上の事をしてしまっていることに気付いて竹谷は指を止めた。さすがにこれ以上触れたら怒られるだろうかと不安になってちらりと食満の顔を窺う。
「あの、先輩」
耳元へと口を寄せるようにして竹谷は囁く。
「もっと触ってもいいですか?」
食満の顔を覆っている腕を剥がすようにして顔を覗くと、顔を赤く染めたままの食満が涙目のまま竹谷を見つめる。
「いまさ、ら聞くなよ」
恥ずかしそうに視線を逸らした食満のその瞳から涙が零れ落ちたのが見えて、竹谷はその涙を舌先で掬う。驚いた食満の顔は、竹谷の指先が固くなって勃ちあがっている乳首へと触れると快感を耐えるように歪んだ。その表情が竹谷の下半身へと直に興奮を伝える。
「俺、もう止まれませんよ?」
唇を胸元へと移動させながら竹谷は念を押すように食満へと告げる。そんな竹谷の言葉に食満は「そんなん、俺も、だ」と返した。
了承と取れるようなその言葉を聞いてから竹谷は完全に手加減が出来なくなってしまった。乳首へと軽く歯を立てると殺しきれなかった声が漏れたけれど、それだけでは足りなくて竹谷は顔を上げる。竹谷の思った通り、食満は自分の手の甲に噛み付いていた。痛くないのだろうか、と思った竹谷は食満が噛みついている手をその唇から離してやった。
「声、我慢しないでくださいよ」
「と、なりに、聞える」
考えてみればここは寮で隣りの部屋にはもちろん寮生が寝ている。それでも声が聞きたいと思った竹谷はテーブルの上に置かれていたリモコンへと手を伸ばした。そして電源ボタンを押した後、再生ボタンを押す。すると食満が所有しているコンボから音楽が流れ出す。流れて来たのは竹谷が食満へと贈ったCDだった。その音量を少し上げて竹谷はリモコンを枕元へと置いた。
「これなら大丈夫でしょ?」
にっこりと竹谷は笑い、胸元へと唇を落としながら食満のベルトを器用に外す。
「先輩、もうどろどろっすね」
下着の中から取りだされた食満のものは既に硬くなり、先走りを零している。竹谷のその言葉に食満はむっとした表情になって竹谷の股間をつま先で軽く踏みつけた。
「お前のだってもう勃ってんじゃねーかよ」
「それは先輩がいやらしいからですよ」
「んな訳、あっ…」
鈴口を指先で強く弄ると食満の声から甘い声が漏れる。にやりと笑った竹谷を睨みつけるようにした食満だったが、竹谷が舌先で胸元へと吸いつき、指先で食満の固く勃ちあがったものを扱きはじめると固く目を閉じて甘い声を漏らす。
「たけ、あっ…それ、嫌っだぁ」
乳首へと歯を立てるとその強すぎる刺激に耐えられないと食満が頭を振りながら漏らす。そう言われるともっと弄ってあげたくなるのはどうしてだろうか、そんなことを考えながら竹谷はまた歯を立てる。
「あっ…」
背を反らせて竹谷の髪を掴んだ食満へと竹谷は視線を向け、「気持ち良さそうですよ?」と乳首へと歯を立てたまま言った。
「ばかっあっ…」
食満の弱い箇所を覚えるように、竹谷は右手で食満のものを扱く。すると今までで一番高い声を出して食満はあっけなくイってしまった。
「たけ、やの、ばか」
涙を零しながら睨みつけられると怖いというより可愛いと感じてしまうのが不思議で、竹谷は食満へとキスを落とす。そして口腔内を舌で蹂躙しながら食満の精液がたっぷりついた指先を後方の秘所へと当てて精液を塗りつけた。
「…ぁっ…んっ…」
驚いたように体を跳ねさせた食満の意識がそこへと向かないように竹谷は食満の舌を吸い上げる。そしてそのまま指先を食満の秘所へとゆっくりと進ませた。
「ふあっ…あっ、たけ、やっ…あっ…」
指が一本完全に入ったところで竹谷は食満の唇を離す。必死に酸素を吸いあげる食満の胸元へともう一度吸いつく。
「んっ…はぁっ…あっ…あぁっ」
指を一本から二本、三本と増やして中を掻き混ぜるようにと動かすとそれだけで食満は甘い声を漏らす。
酒に酔っていた時よりも随分と反応がいい食満の姿を前に竹谷の我慢もそろそろ限界だった。
「先輩、挿れていいっすか?」
溜まらず懇願するように食満へと尋ねると食満は「だから、いちいち聞くなっ、お前の勝手にしろ」と竹谷を睨みつける。
「はい。もう聞きません。挿れますね」
指を抜き、硬く勃ちあがったものを入口へと宛がうと目の前で食満の表情が変わった。
「待った」
「待ちません。先輩が勝手にしていいって言いました」
ぐいっと押しつけ、先の方だけ挿れると食満の開いた口から「無理」と声が漏れる。
「んな、でっかいの、無理、絶対無理、」
「そんなことないですよ。だって先輩この前ちゃんと咥えこんでましたよ?」
「嘘だ」
「嘘じゃありません。ほら、入りますよ」
竹谷は食満の身体を抑えつけて、唇を塞ぎながら一気に奥へと進めた。食満の悲鳴は漏れることなく、竹谷が飲み干してしまう。
「全部入ってるの分かりますか?」
「うそ、だ」
「嘘じゃないですよ。ほら」
引き抜きかけたものをまた奥まで突き入れると食満の声が漏れる。さきほどよりもずっと甘いその声に竹谷のものはまた硬くなってしまった。
「あ、ばか、硬くすんなぁっ…やぁっ」
何か縋るものを探して食満の手がシーツの上を滑る。その手を自分の背中へと回して竹谷は腰を動かした。
食満の手が竹谷の首へとしがみ付いてその遠慮なく力が入った指先で皮膚を引っ掻かれると痛かった。それでも溶けあった箇所が伝えて来る快感のが強くて竹谷は余裕のない息を吐く。
「あっ…そこ、やめっ」
食満が何かから逃げるように腰を引き、それに気付いた竹谷はその腰を逃がすまいと捕まえた。そしてそのまま突き入れるとどうやら弱い箇所に触れたようで食満の体が震える。
「気持ちいいんですか?」
耳元で囁くと食満は涙を零しながら頭を振る。それが可愛くて竹谷は何度もその場所に届くように腰を動かした。
「あっ…もぉっ…イくっ」
「先輩、イっていいっすよ?」
先に食満をイかせようと竹谷は食満の前へと手を伸ばし、限界のように震えていたそれに指を絡めて扱く。
「あっ…やめっ、たけやっ」
首筋にぎゅうぎゅうとしがみ付くようにして食満は達し、その時に後ろが締めつけて竹谷も食満の中で達してしまった。
はあはあと荒い呼吸音はコンポから流れる音楽へと掻き消される。竹谷はまだ自分自身のものを抜かずに食満へと倒れ込み、互いに乱れた呼吸が整うまでそのまま横になっていた。
呼吸が整うと竹谷はようやく自分がまた食満を抱いてしまったことに気が付いた。許可は貰ったが、それは言わせたようなもので、また同じような過ちをしてしまったと思った竹谷は食満の中に突っ込んだまま「す、すみません!」と謝罪した。
驚いたような顔をした食満は、そのままの表情で固まる。
「あの、キスだけで、終わるつもりだったんです。ここまでするつもりなくて…先輩があんまりえろいから、我慢出来なくて、あの、その、中に出しちゃいました」
「…まぁ、取りあえず、抜けよ」
食満の言葉に竹谷はようやく自分がまだ突っ込んだままだといくことを思い出して慌てて少し硬さが戻ってきそうな自分のものを引き抜いた。引き抜くとどろりと精液が零れてくるそこを見つめていたら「見るな」と食満の足が竹谷の胸を軽く蹴る。
「…あの、先輩、すみませんでした。先輩の気が済むんであれば殴ってもいいんで!」
ベッドの上で正座をしたまま竹谷は頭を下げる。もういっそのこと二、三発食らった方が自分も目が覚めるんじゃないかと思ったのだ。
目の前で困ったような顔をしている食満をもう一度啼かせたいと思ってしまう自分の目が覚めるのなら三発くらい殴られても我慢が出来る。
真剣な顔で頭を下げる竹谷を見つめて食満は呆れたような溜め息を吐き、目を瞑っていた竹谷は食満が少し寂しげな表情をしたのを見ることはなかった。
「俺の気が済むようにしていいのか?」
いつもより低めの声に、竹谷はあぁ、殴られると確信した。そして体中に力を入れたまま「はい」と返事をする。
「歯、食い縛れよ」
目を開けず、ぎゅうと硬く瞑っている竹谷を見つめて食満は小さく苦笑を浮かべ、そして竹谷の唇へ唇を重ねた。
「もう気が済んだからいいぞ」
唇に柔らかいものが触れる感覚がして思わず目を開くと竹谷の前で食満が困ったように笑っている。
「え、でも、」
「…別に俺は怒ってねーって、だから、さっきから何度も、気持ち良かったって言ってんだろ」
ぷいっと顔を背けて告げる食満に、竹谷はようやく食満の顔が赤いことに気が付いた。ライトの所為かと思っていたけれど、首筋まで赤いってことはきっと赤面しているのだ。
「…先輩、もしかして、恥ずかしいんですか?」
「当たり前だろ!お前、気持ちいいって何回も言わされてるこっちの身にもなれよ、俺ばっかり恥ずかしいこと言ってるし、なのにお前は全然信じねーし」
眉間に皺を寄せ、唇を尖らせてまるで拗ねるようにそう言う食満が竹谷には可愛らしく見えた。そしてその食満を見つめて欲情とは違う感情が胸に湧く。
「…あ、俺、食満先輩のこと好きみたいです」
口にすると、今気付いたばかりの暖かい感情にはその言葉以外当てはまらないのだと知った。それはパズルの最後のピースが当てはまる時のようにぴったりで、これ以上この感情をうまく言いあらわすことは出来ないだろう。竹谷は自分が食満を好きになっていた事に今やっと気が付いたのだ。
「俺、先輩見てるとすっげームラムラして、先輩がうたた寝してたらキスしたくなってて、だから先輩と顔を合わせないようにしていたんですけど、あ、そっか、俺、先輩が好きなんだ」
好きだってことはホモってことかと竹谷は思ったけれどあまり驚きはしなかった。この前まではホモかどうかで物凄く悩んだ気もしたが、今はただ、この気持ちに気付けてすっきりしていた。
「…今気付いたのか?」
「はい。今気付きました。どうしましょう、俺先輩の事すごく好きみたいです」
心臓が早く鳴るのが何だか嬉しくて、竹谷は食満の手を取って自分の左胸へと当てた。
「すげぇ早いな」
「でしょ?俺、先輩のこと好きなんですよ」
嬉しそうに笑う竹谷につられて食満も笑った。そんな食満の手をぎゅうと握りしめながら竹谷は食満へと顔を近づける。
「好きなんで、キスしてもいいですか?」
「お前がキスだけで終わるわけがない」
「…だめですか?」
しゅんとまるで捨てられた犬のような顔をした竹谷に食満の心臓が一瞬だけ大きく鳴った。しかしそれに竹谷は気付かない。まだ悲しそうな顔をしたままの竹谷に食満は静かに顔を近づけて「…いいよ」と囁いてから自分から唇を重ねた。
驚いたような竹谷の眉が嬉しそうに下がるのを食満は嬉しいような恥ずかしいような気持ちで見ていた。
空が白みはじめ、カーテンを透かせるほどの光が差し込んでくる。寝がえりを打った竹谷は何かを思い出したように体を起こした。
「…そう言えば俺は食満先輩好きだって言ったけど、食満先輩はどうなんですか?」
「…今聞く事かよ。つーか、お前そこに座れ」
竹谷と同じように体を起こした食満が苦い顔でそう告げる。
「え、先輩なに怒ってんですか?え、だって二回目はちゃんと先輩がしていいって」
「大きな声出すんじゃねーよ!つーか、お前は跡付け過ぎなんだよ!マーキングじゃあるまいし」
軽く頭を叩かれて竹谷は頭を擦りながら食満の体を見つめた。そこにはそこら中にキスマークが浮かびあがっていて痛々しく見える程である。
「俺そんなにつけましたっけ…」
「お前以外に誰がいんだよ!風呂入る時大変なんだぞ、これ。今度キスマークつけたら、お前覚えておけよ」
眉間に皺を入れながら竹谷を足で蹴った食満に竹谷は「じゃあ次があるって思っていいんですか?」と尋ねる。
「え」
「キスマーク付けなければ、また先輩抱いてもいいってことでしょ?」
「…誰がんなこと言ったんだよ」
「先輩が」
にやりと笑って顔を近づけると食満の顔が赤く染まっていく。顔が真っ赤に染まったのを満足気に見届けて竹谷は食満の唇にちゅっと軽くキスをした。そんな竹谷に食満が軽いチョップを食らわせた時に食満の部屋のドアを誰かが強くノックする音が響いた。二人はビクっと体を固まらせてドアへと視線を向ける。
「留三郎!お前一日中音楽流してんじゃねーよ、うっせぇーだろ!このばかたれ!」
文次郎のその言葉が終わるとノックは止まった。竹谷は近くにあったリモコンで一晩中、現在も流しているCDを止めた。
静まり返った部屋には時計の渇いた秒針の音と外で囀る小鳥の声しか聞こえない。
「…文次郎行ったかな」
「行ったんじゃないすか?」
ちらりと視線を合わせると笑いが込み上げてきて二人して視線を合わせたまま顔を近づけて笑い声を殺した。目の前で笑っている食満は以前と同じ笑顔で、けれどその笑顔を見ている竹谷の気持ちはやはり以前とは変わっている。その笑顔がこんなにも可愛いだなんて、前までは思わなかったのにと思うと竹谷は何故だか嬉しくなって来た。
「先輩、好きです」
こっそりと囁くように竹谷はもう一度告げて食満の頬へとキスをした。今度はチョップが飛んでくることはなくて、代わりに小さなキスが降って来た。
(おわり)
(2010/05/02)
あとがき
竹谷と食満の現代大学生パロ第一弾を読んで下さってありがとうございます。
たけまが好きなのに少なすぎてなら自分で書くしかないじゃん?って開き直って書き始めた現代パロ…スパコミに行けない苛立ちを食満にぶつけたら喘いでくれました。
どうしてこうなった…!笑
はじめは全年齢向けで進めようと思っていたんですけど、考えてみたら一話から既に事後だしいいっすよね!と開き直った!
このお話は続きを書きたいなって思っています。食満先輩が竹谷を好きかどうかまだ分かってないしね!笑
でも第一弾はここで終わりです。
ここまでお付き合いくださいましてありがとうございます!!
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